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埼玉県高校図書館フェスティバル

全受賞作品とコメント2023

アンカー 1
イチオシ本2023

2022年11月~2023年10月に出版された本から

高校生にすすめたい本を、

埼玉県の高校司書がピックアップ!

1位

成瀬は天下を取りにいく

宮島未奈 著 新潮社

カーリル
『成瀬は天下を取りにいく』書影

宮島未奈さんからコメントをいただきました

カバーイラストの成瀬は西武ライオンズのユニフォームを着ています。

ライオンズの本拠地である埼玉でイチオシ本に選ばれるなんて、運命だったのかもしれません。

ぜひ高校生のうちに成瀬と出会ってください!

100mankai

県内司書の推薦コメント

成瀬にドハマりする生徒・教員続出!!これが推し活か!!!

本の帯を見て西武ライオンズかと思って読み進めたら西武デパートで、いい意味で期待を裏切られました。周りの目を気にしてやりたいことを躊躇している人に、大丈夫と背中を押してくれる一冊です。

成瀬と幼なじみの島崎との関係がとても良い。成瀬は不器用ながらも自分なりの言葉で他者と向き合うが、うまくいかないこともある。島崎がいて良かったねと心から思う。

ものの見事に成瀬に魅せられた! 破天荒だけどとっても魅力的な成瀬に会いに膳所に行きたい!

「危なっかしいのにカッコよくて、目が離せない」わが道系主人公が爽快。

成瀬、最高です。友人の島崎も最高です。出だしからワクワクして、そのままの熱量で読み終えました。

読みやすさもさることながら、「目標を定め、それに向けて努力する」という不朽かつ普遍的な格好良さを見出すことができます。作者の経歴もそれを裏付けるもので、読むと何かに挑戦したくなる物語です。

若いのに地元(滋賀県)愛がすごい!成瀬のように(周りの目を気にしない)強い人間になりたい!大人になった成瀬が見たくなる作品です。

こんなに爽快な気分になれる本に出合えたのは久しぶり。おもしろくて元気がでます。

成瀬のような子はいなさそうでいるかもしれないという設定に魅かれた。

滋賀県大津を舞台に主人公成瀬あかりが、他人に左右されることなく全力で我が道を生きる姿に感動。元気をもらえる作品です。

周りから浮いていた人間にとっては、実は島崎の方がすごいかも?

予想できない行動をする成瀬が、はっきりくっきり、印象に残った。

とにかく成瀬あかりが魅力的!

おすすめした人全員が「おもしろかった!」と言っていました。普段本を読まない子も楽しく読めたみたいです。

思い立ったらすぐ行動する成瀬あかり。その行動に直接あるいは間接的にかかわる人々の物語。あなたは誰に共感するだろう。

滋賀県のことを知らない人でも楽しめますが、知っているともっと面白く読めます。

成瀬のブレないところがたまらなくカッコイイ!

「なんか面白い本ありませんか」と聞かれたら、今はこの本を手渡します。こんな世の中だからこそ、読んでほしい!やりたいことは、躊躇なくやろう!成瀬の生き様に元気と勇気をもらえます。

本をあまり読まない高校生でも、楽しく1冊読み終えることができる本だと思います。

一時期、生徒に利用が続きました。

成績優秀、個性豊か、常に我が道を行く少女 成瀬。「成瀬がまた何か始めたぞ」と周りがざわめいても彼女は気にしない。自分の「やりたい」に全力で挑む姿は清々しく、爽快な気持ちになれる1冊。

人にどう思われるか気にせず自分のやりたいことをやる成瀬がかっこいい。友達やクラスの中で気を使ってしまう、自分の素を出せない、という人は読むと勇気をもらえます。

破天荒な生き方をする成瀬の青春活劇をまぶしく感じながら読みました。

「成瀬最高かよ!!」と叫びたくなりました!一見無茶なことでも、口に出して、やってみる成瀬マインドには脱帽です。読んだ後の清涼感がすごい!!

主人公 成瀬を中心とした、人と人の緩やかなつながりが感じられる物語だと思います。作品を通して成瀬を見守ることができてよかったなと思いました。

事なかれ主義だった高校生の私にこんな友達がいたら、色鮮やかな高校生活が送れたかもしれない、と思わせてくれる作品でした。

笑える。元気がもらえる。成瀬を好きになる。そんな本です。

成瀬のように、他人の目を気にせず自分軸で我が道をゆくタイプの人間に憧れる人は多いのでは?爽やかで高校生にぴったりの青春小説。読書の苦手な人にもおすすめです。

常識のななめ上を行く成瀬の姿に笑ったり考えさせられたり、問答無用で励まされる100%エンタメ。こんな小説を待ってました。

人の目が気になる・ふつうでいたい、反対に、目立ちたい・認められたい。そういう他人の評価や相対的価値観が、成瀬あかりの行動を見ていると、全部どうでもよいものに思えて爽快です。

2位

この夏の星を見る

辻村深月 著 KADOKAWA

カーリル
『この夏の星を見る』書影

辻村深月さんからコメントをいただきました

『この星』は、コロナ禍で不自由な思いをした中高生たちが星を通じてつながる物語。
その本を彼らと同年代の子どもたちに触れる司書の皆さまが選んでくださったこと、
光栄に思います。

ありがとうございました。

県内司書の推薦コメント

この小説を読んで、コロナ禍という特殊な状況だからこそ生まれた様々な出会いに気づかされました。

自分や生徒たちのコロナ禍の暮らしを思い出して、心にくるものがありました。

読み終えた瞬間、2023のイチオシ本はこれだ!と思いました。コロナ禍という制限の中、そこであきらめずにできることを見つけ、そこに情熱を注いだ高校生達と、それを支えた大人達の姿に感動しました。

コロナ禍による休校で、これまで経験したことのない事態の中でも、今できることをやりたいと前向きに考え活動する姿に感動しました。

コロナ禍を経験した生徒たち是非読んでほしいです!好きなものを好きでいることの大切さを改めて感じました。役に立つ立たないは二の次で、好きなものへの気持ちは、ずっと持ち続けてほしいなと思います。

「好きなこと」への気持ちをかみしめる一冊。ただ好きなだけで動いてみてもいいんだと、勇気をくれるお話です。

コロナ禍で失ったものよりも、得たものの尊さを感じた素敵な本でした。

高校生のウチらは、コロナ世代。嫌なことばかりだけど、内心ホッとしていることもある。大人が思うより、複雑。宇宙はそんなウチらを繋げ、受け入れてくれる―この本には、ウチらの気持ちが全部ある!

当たり前が当たり前じゃなくなったコロナ禍を避けずに、アオハル小説として描いてくれてありがとう。

子どもも大人も、皆かけがえのない時間を生きている。感染症が流行しても、行動が制限されても、その時間が無くなることはない。登場人物の言葉に励まされ、読後は気持ちがぱあっと晴れた。

メッセージ性の強い一冊。高校生に刺さる言葉があると思う。共感する言葉があると思う。欲しい言葉があると思う。

いろいろなことを諦めなければならなかったコロナ禍。そんな中でも何かを成し遂とげ、繋がっていこうとする中高生たちのさわやかな青春小説です。

コロナ禍の中、主人公たちにとっても決して望んだ環境ではないけれど、この状況だからできる事を模索していく姿に勇気づけられます。

リアルタイムの青春群像小説だと思います。

コロナ禍の2020年。失われそうな日常を守るため、今できることを模索する天文部の中高生たち。直接会うことができなくても、心は繋がり、感動を分かち合うことができると教えてくれる物語。

コロナの見えない存在によって生活が一変。だが、閉塞感の中でも人は創意工夫して光を見つけ出す。人と会えなくて限られた空間だけれども空は繋がってる。そう思わせてくれた本。

将来仕事になるのか、お金になるのか、そんな尺度じゃなくて、ただ好き!という気持ちで繋がった彼ら。好きなもので、同志を見つけられるっていいな。

コロナでできなくなったことは、たくさんある。でも、コロナがあったからできたこと、出会えた人もいる。理不尽な現実を受け止める勇気をくれる本。

連載中のカットも楽しみだったので、全部切り抜いて取ってあります。学年で唯一の男子、真宙くんが一番気がかりでした。この状況でも、この状況だからこそできることをやろうと思わせてくれる本でした。

3位

私たちの世代は

瀬尾まいこ 著   文藝春秋

カーリル
『私たちの世代は』書影

瀬尾まいこさんからコメントをいただきました

イチオシ本に選んでいただきうれしいです。
高校生の皆さんにも、息苦しい時期や思い通りに
いかなかった時期があったと思います。
どんな日々であっても、皆さんの中にきらめくものが
あればいいなと願っています。

県内司書の推薦コメント

コロナ禍を経験した世代の心に響く物語です。

学生時代にコロナで不自由な生活を強いられた人たちの救いとなる本。

コロナ禍であたりまえの日常が失われ、未来も大きく変わったのかもしれない。でも様々な困難の中で支えあう、暖かい絆があった。遠回りでも自分らしく前に進んでいく勇気をくれる一冊。

読み進めると交わる2人の物語が、人と人のつながりや縁を感じさせる物語。小学生時代から社会人になるまで描かれていて、それぞれの成長や変化が良くわかる。

コロナ禍に小学校生活を送った子たちが、それを経て大人になっていく。苦しんで、もがいて、戸惑って、絶望し、救われて、気づく。失われた日々ではなく、あの日々があるから今日があるんだ。

どんな状況にいても、数えきれない未来を抱えている子どもたちは光を放っている。この子たちを一人も取りこぼすことなく、少しでも楽しいと思える日々を創りたい。明日に向かえる力をつけてあげたい。

過去は変えられません。でも未来は変えていくことができます。前を向いて一歩を踏み出せば、世界が変わることを教えてくれる本です。そして必ず支えてくれる人がそばにいることも教えてくれる本です。

コロナ禍で「自分は何かを奪われた」と思っている人がいたら、読んでほしい。あなたに積み重なっていくものはある。冴や小晴のように未来を切り開いていけるよって伝われ。

読後感がよい。

4位

続 窓ぎわのトットちゃん

黒柳徹子 著 講談社

カーリル
『続窓ぎわのトットちゃん』書影

担当編集者さんからコメントをいただきました

平和への願いから書かれた本書ですが、著者の黒柳さんが、母校の校歌の一節「咲くはわが身のつとめなり」を胸に、自分が「咲く」ために、もがき続けた青春記でもあります。若い皆さんにぜひ読んでいただきたいです。

県内司書の推薦コメント

平易な文章で描かれたトットちゃんの日常から戦争の哀しみが伝わる作品です。

42年前『窓ぎわのトットちゃん』が出版された時、高校生だった私はとても楽しく読んだことを覚えています。その続編にグッときています。今の高校生に2冊続けて読んでほしいです。

罪のない大勢の人々が戦争で殺されている今、42年前の前作と合わせて読んでほしい。

青森に疎開してもたくましく生きるトットちゃん。戦争はイヤだという気持ちが全編に満ちている。

NHK以降の話は他の本でも読めるが、戦争の話はぜひ読んでほしい。

5位

レーエンデ国物語

多崎礼 著 講談社

カーリル
『レーエンデ国物語』書影

多崎礼さんからコメントをいただきました

良い子でいることに息苦しさを覚え、

抑圧されることに疑問を感じ、

世間でいう幸福と自分が求める幸福は

別物であることに気づいてしまった貴方に、

「貴方が望む貴方であれ」と伝えたくて、

この物語を書きました。

県内司書の推薦コメント

読後、歯を食いしばって泣いた…!骨太なファンタジーで、この後の物語の大きなうねりを感じさせるものでした。

本格的ファンタジーだけれど、長すぎず、ストーリーも複雑すぎない。登場人物たちの会話などにも違和感なく入っていける。色んな意味ですごくフィットしました。もっと生徒に薦めたい!

こんな上質なファンタジーを待っていました!!1ページ目から引き込まれて、絶対に面白いから大切に読もうと思いました。異世界転生が流行っている中、転生しない王道ファンタジーが読めて最高です!

レーエンデという地とそこで懸命に生きる人々の美しさに惹かれる本格ファンタジー小説です。辛い展開も多いですが、それでも読むのを止められません。

残りページが少なくなるにつれ、早く続きを読みたい!という気持ちと読み終わりたくない!ずっとこの世界観にいたい!という気持ちがせめぎ合った。

日本人作家でこういったファンタジー作品は新鮮だなと感じたので、ファンタジー小説が好きな高校生におすすめしたい一冊です。

高校生にも読みやすい文章で作られたファンタジー小説。

主人公たちが悩みながら自分を見つけていく姿や軽快な会話が身近なものに感じられます。

ファンタジー好きの人におすすめです。

6位

祖母姫、ロンドンへ行く!

椹野道流 著 小学館

カーリル
『祖母姫、ロンドンへ行く!』書影

椹野道流さんからコメントをいただきました

この本を書きながら、幾度も思いました。

もっともっと、祖母と話をしておけばよかった

色んなところへ一緒に行けばよかったと。
この本を読んだ皆さんが、人生の先輩たちとお喋りしたいなと思ってくださったら最高です。

県内司書の推薦コメント

テンポよく次々と進むのであっという間に読み終えてしまいました。ドラマあり、ハプニングあり、笑いありと読後感ほっこりの旅行エッセイです。

誇り高く、我が道を行く、でも憎めないかわいらしさのある老女と孫のロンドン滞在記。

ドラマみたいなホントの旅行記。パワフルでハートフル!幸せな読書時間を保証します。

医師兼小説家の著者が、若かりし日に祖母のお供でロンドン旅行したときのことを振り返って綴ったエッセイ。CAさんやホテルマンのホスピタリティ、キャラつよ祖母姫の金言の数々がぐっとくる!

7位

宙わたる教室

伊与原新 著 文藝春秋

カーリル
『宙わたる教室』書影

伊与原新さんからコメントをいただきました

イチオシ本に選んでいただき、ありがとうございます!
物語の舞台は、年齢も境遇も様々な生徒が集まる

定時制高校。
夜の実験室で宇宙に思いを馳せる科学部の面々に

エールを送りつつ読んでいただけると嬉しいです。

県内司書の推薦コメント

知りたい気持ちや学びたい気持ちは、偏差値では測れない。知を求め、どんどん吸収していく姿が純粋で眩しかった。定時制なので、生徒たちの年齢や境遇はさまざまだけど、まぎれもなく青春小説だと思った。

登場人物が皆何かを持っているけれど魅力的なので地学が好きでも苦手でも内容にひきこまれます。読みやすく、うまい。そして温かい気持ちになれます。個人的にサイン本購入してしまいました!

全日制と定時制高校の部活動の話。それぞれの事情を抱え、自分の居場所を模索するその生徒の姿が以前勤めていた定時制の生徒の姿と重なり、思わず思いを馳せてしまった。

都立高校の定時制に作った科学部が舞台の小説。定時制にいる事情も年齢もバラバラな生徒たちが1章ごとにそれぞれ抱える重いものを乗り越えていき目標に向かっていく姿に胸が熱くなりました。

様々な事情を抱えた定時制高校の生徒と教師による青春小説。エリートや優等生とは程遠い彼らが、それらを凌駕するほど科学にのめり込み、そこで得たものに、とにかく感動しました。

「どんな人間も、その気にさえなれば、必ず何かを生み出せる」先生のこの言葉が全てです。躓いても、失敗しても、チャンスはあるのだと、伝えたいし、信じたいです。

8位

自分の言葉でつくるオタク文章術

推しの素晴らしさを

語りたいのに「やばい!」

しかでてこない

カーリル
『推しの素晴らしさを語りたいのにやばい!しかでてこない』書影

三宅香帆さんからコメントをいただきました

学生時代、図書館で出会った登場人物への想いは、今も褪せることなく私の心を温めてくれます。

あなたがそんな誰かへの想いを語りたくなったら、ぜひ本書を使ってください。

県内司書の推薦コメント

自分の思いを他人にうまく伝える方法を、大好きな推しについて語ることを通して学ぶことができる良書です。

よくある文章術の本と違うのは、「しゃべる」「SNSで発信する」「文章に書く」のそれぞれにガイドがあること!言葉にする勇気と楽しさがつまっています。

論理的に情熱的に魅力を伝えるための1冊です。磨いた言葉は自分を守ることにもつながります。

大好きな推しを語るのに「やばい!」だけではもったいない。もっと大好きを表現しよう!

9位

世界でいちばん

透きとおった物語

杉井光 著 新潮社

カーリル
『世界でいちばん透きとおった物語』書影

杉井光さんからコメントをいただきました

子供の頃に読んで心底驚かされたとあるミステリ小説への憧れから、この本を書きました。

この本がまた、だれかにとっての忘れられない一冊になりますように。

県内司書の推薦コメント

こんな物語を書ける作家さんがいらっしゃることに大変衝撃を受けました。電子書籍が台頭する時代に紙の本のおもしろさを実感できるよい作品でした。

読んだ人としか共有できない面白さがあります。

小説、漫画、絵本、アニメ・ドラマ脚本など、物語の表現の仕方は千差万別、自由です。その中の小説だけをとっても膨大な「魅せ方」がありますよね。読むと本の可能性感じられる小説です。

紙の本ってまだまだここまで面白いことができるんだ、と感動した一冊。

ストーリーの終盤から感じ始めるのですが、ラストにそれに気づいた時は驚きました。

10位

リカバリー・カバヒコ

青山美智子 著 光文社

カーリル
『リカバリー・カバヒコ』書影

青山美智子さんからコメントをいただきました

無傷で生きることは難しいし、一度も転ばない人なんてきっといないけれど、起き上がったとき気づけば前に進んでいるのかもしれません。

リカバリーを繰り返しながら身につけた強さが、大切な味方になりますように。

県内司書の推薦コメント

自分の直したい所と同じ部分を触ると回復するという伝説の公園遊具カバヒコ。カバヒコに触れることでそれぞれが自分と向き合い、ゆっくりと回復していく様にとても優しい気持ちになれる一冊。

日常から離れて、ほっと一息つける場所を必要としている人はたくさんいると思います。カバヒコのある公園のように、学校図書館が心をリカバリーできるような場所であればいいなと思いました。

読みながら読者の心が回復してゆくような物語。

「カバヒコ」に会いに行きたくなります。心がゆっくりリカバリーしていく優しい本です。

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