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全受賞作品とコメント2016

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2015年11月〜2016年10月に出版された本から

高校生にすすめたい本を、

埼玉県の高校司書がピックアップ!

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翻訳できない世界のことば

エラ・フランシス・サンダース 著

イラスト 前田まゆみ 訳 創元社

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翻訳者の前田まゆみ先生からコメントをいただきました

このたびは、未来ある高校生のみなさんにこの本を読んでいただける賞の第 1 位に選んでいただきまして、ほんとうにありがとうございました。

この本を通して、世界が広いということ、そして、同時に、人間が感じることにはさまざまな共通点があるということを感じ取っていただけたらうれしいです。

県内司書の推薦コメント

1つの母語では分かち合うことのできない感覚を、この本では分かち合うことができます。翻訳できない、言葉にできないことを誰かと分かち合えるとても素敵な本だと思います。

それぞれの母語ごと、その人たちにしかわからない概念の数々。世界の多様性をジンワリと伝えてくれます。

言葉で表現するということの面白さ、すばらしさを感じることができる一冊だと思います。異文化理解にも役立つのではないでしょうか。

日本語独特の表現があるように、世界の言葉にはそれぞれその言語でしか表現できない言葉があるのだと、改めて感じました。イラストもスタイリッシュで素敵です。

ことばって、本当に美しいと思う。

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蜜蜂と遠雷

恩田陸 幻冬舎 

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恩田陸先生からコメントをいただきました

「才能」は「努力」と同義語です。「努力」は「自分を信じること」と同義語です。

「自分を信じること」は孤独です。ですから、孤独なあなた、孤独を知っているあなたはチャンスです! あなたには努力する時間があるからです。その時間を「才能」につなげるべく、自分を信じて有効に使ってください。

県内司書の推薦コメント

「コンクールの空気は確かにあの通りで、みんなうまいんだけどだんだん飽きてくる。その時弾き始めで耳が反応するような演奏をする子がいるのよ」という話を聞きました。

ピアノの曲が聞こえるような気がする。

本から音楽が溢れ出してきて、読んでいると、心地よさを感じます。優しくて、あたたかくて、綺麗な物語。いつもまでも読んでいたくなる今年1番の本でした。

ピアノのコンクールというあまりなじみのない世界を疑似体験することができました。様々なタイプの才能を持つコンテスタントの演奏が見事に文章で表現されていて、なぜかたっぷり音楽を聞いたような読後感を味わいました。

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陸王

池井戸潤 集英社 

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池井戸潤先生からコメントをいただきました

『陸王』は行田市が舞台の小説です。そのおかげで、埼玉県の皆さんに身近に感じていただけたのでしょうか。登場人物の中には、自分の進路に悩む青年たちが出てきます。勉強や部活の合間に、ぜひ読んでみてください。

県内司書の推薦コメント

埼玉県の行田市にある中小企業が主役で親近感を得られ、就職すること、仕事をする意味についても触れられていて高校生にぜひ読んでほしい作品です。

埼玉が舞台! 外せないでしょ。厚いけれど熱く引き込まれます。

池井戸潤さんの作品は読み始めると止まりません。文句なしの今年の1冊です。

老舗の足袋屋が店の存続をかけて、ランニングシューズづくりに挑戦する。難関に立ち向かう零細企業の情熱・チームワークに感動。

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タスキメシ

額賀澪 小学館

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額賀澪先生からコメントを頂きました

「若ければ何でもできる」と大人は口を揃えて言いますが、高校生にだって諦めなければならないこと、捨てなくてはいけないこと、見ないふりをしなければいけないことがたくさんあります。そういったものを背負った人に、『タスキメシ』が届いたらいいなと願っています。

県内司書の推薦コメント

駅伝への想い、人生への葛藤と選択、そしておいしいご飯の匂いがとても魅力的な、読後感爽やかな作品でした。ぜひ生徒に読んでほしいです。

現高校生にこそぜひ読んでほしい青春小説。

部活、進路、人間関係……主人公が最後に出す答えが素敵です。しかも料理がすごくおいしそう。

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コンビニ人間

村田沙耶香 文藝春秋

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担当編集者様からコメントを頂きました

36 歳未婚女性、古倉恵子はコンビニ勤務 18 年目。

今まで彼氏もなく、生活すべてがコンビニに組み込まれているようだ。周囲にそんな生き方はダメだと言われても、意に介さない恵子。

普通って何なのか? 読み進めるにつれ、常識がぐらりと覆る読み心地をぜひ体感してみてください。

県内司書の推薦コメント

高校生に「おもしろいよ」と言って薦められる芥川賞です。「ダメな人の話でしょ?」と読む前には笑顔で言っていた生徒が、返す時には神妙な顔で「おもしろかった」と言っていたのが忘れられません。

主人公の考え方に共感できる?できない?「普通」ってなんだろうと考えさせられる作品。

現代の若い人たちが抱えがちな悩みを、暗くなりすぎずに上手に描いており、共感できる部分が多くありました。ドラマでも契約結婚やノンママが話題になっていて、いろいろな生き方を模索している時代だと思いますが、それに通じる社会派小説だと思います。

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東京會舘とわたし 上・下

辻村深月 毎日新聞出版

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辻村深月先生からコメントを頂きました

小説の舞台になった東京會舘は私にとっても思い出深い大好きな場所です。

登場人物それぞれの思いと、建物の思いを皆さんが受け止めてくださったこと、とても嬉しいです。ありがとうございました。

県内司書の推薦コメント

“出会い”とは偶然ではなく必然。そんなことを改めて感じさせてくれる本でした。

東京會舘という場所を媒介にして時を巡る大河小説です。どの時代にもそれぞれの人生のドラマあったのだとしみじみ感じさせてくれます。

人に歴史あり、建物に歴史あり。大正十一年から日本の歴史の局面を見守ってきた国際社交場・東京會舘。有名、無名の人々の足跡と想いの蓄積が時を刻む。歴史を体感しながら感懐を与える。

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ツバキ文具店

小川糸 幻冬舎

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小川糸先生からコメントを頂きました

主人公の雨宮鳩子ことポッポちゃんは、文具店を営むかたわら、依頼人に代わって手紙を書く代書屋というのをやっています。

最近、手紙を書きましたか?

たまには、じっくりゆっくり自分や相手と向き合って、気持ちを文字にするのも、いいものですよ。

県内司書の推薦コメント

文字にこんなに力があるなんて思いもしませんでした。おいしい料理あり、ハイキングありのとてもうれしい一冊でした。

おだやかな鎌倉の四季の暮らしと手紙に関する知識が丁寧に語られている。それぞれのキャラと距離感がいい。

とても心温まるお話です。手紙に関する豆知識の勉強にもなります。

文字や書体の持つ力に感服しました。山歩き、グルメも満載で、とてもおいしい1冊。

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学校が教えないほんとうの政治の話

斎藤美奈子 筑摩書房

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担当編集者様からコメントを頂きました

自分の将来のために政治に関心を持ちましょう、なんて突然言われてもほんと困る、と思ったら読んでほしい。政治に関心が持てないのは、あなたのひいきのチームが無いから。この本を読んで自分の政治的なポジションが確認できれば、あなたのホームチームが見えてくる。18 歳以上の全ての大人に。

県内司書の推薦コメント

二項対立の形で、わかりやすく政治を説明している。

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アンマーとぼくら

斎藤美奈子 筑摩書房

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担当編集者さんからコメントをいただきました

過去は変えられない。かつて酷いことを言ってしまった相手に、今できることはなんだろう。大人も子どもも悩むことがあると思います。そんな方の背中を押してくれる3日間の恩返しの物語です。選んでいただき、本当にありがとうございました。

県内司書の推薦コメント

この小説を読んだ後、かりゆし58の名曲「アンマー」を聴いて涙が溢れました。そして、その後実家の母に電話をしたりして……。親子や家族のかたちは様々でも、変わらないのは「思いやる心」なのだと感じた作品です。

まず高校生の今、読んでほしい。そして、将来、人の親になった時に、もう一度読み返してもらいたい。子から親、親から子、どちらの“想い”も尊く素敵だなと思います。

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小説君の名は。

新海誠 KADOKAWA

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担当編集者様からコメントを頂きました

「あの人と会いたい、一緒にいたい」。70 億もの人が生きているこの星で、そんな 1 人とめぐり合う、奇跡の瞬間をとらえた物語です。映画版は 1600 万人以上を動員する大ヒットとなりましたが、小説版は主人公ふたりの心の動きを、さらにじっくり味わえます。ぜひ読んでみてください。

県内司書の推薦コメント

映画も大ヒットした作品です。夢の中で高校生の男女が入れ替わる・・・。入れ替わったまま過ごしていくうちに、お互いに興味を持ち、芽生えていく想い。2人は現実で交差することができるのでしょうか。感動必須の小説です。

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また、同じ夢を見ていた

住野よる 双葉社

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住野よる先生からコメントを頂きました

拙作を選んでくださった皆さまありがとうございます。高校生の時、本屋さんや図書室で出会った本達を好きになって小説家になりました。楽しいことも苦しいこともある高校生活の中で、ほんの少しでも拙作が楽しさを感じてもらえるものであればいいなと願っています。

県内司書の推薦コメント

大ヒット『君の膵臓をたべたい』の著者の第2作。主人公の歩く速度で進むお話は、大きく回って最後にたどり着く場所が素敵でした。

本が好きで"かしこい"小学生の少女の視点で「幸せとは何か」を問う物語です。地の文が少女の口調で堅苦しくないので、普段活字になれていない人でもすらすら読めます。「一週間で三回読んだ!」という生徒がいるほど、読み返したくなる味わい深い作品です。

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