全受賞作品とコメント2022
2021年11月~2022年10月に出版された本から
高校生にすすめたい本を、
埼玉県の高校司書がピックアップ!
JK、インドで
常識ぶっ壊される
熊谷はるか/著 河出書房新社
熊谷はるかさんからコメントをいただきました
この度はイチオシ本に選んでいただき大変光栄に思います!
目まぐるしく変わるインドという国を、考えや感情が目まぐるしく変わる女子高生の時期に生き、感じ、書いた本です。
ページを捲りながら、あなたに刺さるインドとの出会いがあれば嬉しいです。
県内司書の推薦コメント
読みやすい。父の海外赴任による突然のインド生活に、なんだかんだと適応する女子高生のたくましさが素敵。
読みやすいので、異文化理解のきっかけとしてすすめてみたい。
JKの目線から視たインドの世界。子どもたちが知らない世界を、彼らに近い感性で知ることができる一冊。
青臭いくらいまっすぐな女子高生の視点がとても眩しかった。
楽しいインド滞在記であり、作者の女子高校生の成長譚でもあります。自分が「知らなかった」ことに圧倒されて、「何も出来ない現実」に打ちのめされて、この本を書いてくれた彼女に感謝です。
突然放り込まれた異国の地で1人の女子高生が何を感じ、驚愕し、葛藤したのか。ぜひ本書を読んで追体験してほしいです。
とても読みやすい。楽しいエピソードもあり引き込まれます。また、この本を読んで気付くことや考えされられる部分もあるので、著者と同世代の高校生に手に取ってもらいたい。
読みやすさ抜群のインド滞在記。面白さだけでなく、自分の中のイメージや固定観念に気付かされる本。
リアルタイムでブログを読んでいるみたいな親しみやすさがいい。
日本の常識では測れないような出来事への驚きや感動が瑞々しい文章で綴られています。
インドの格差や宗教などに対して、高校生の素直な感性で、けれどよく練られた文章で綴られているところに好感が持てました。
読者を意識したテンポのよい文章、素直な感受性と表現力。同時代に生きる高校生に、ぜひ「今」読んで欲しいです!
宗教、肌の色、食事…、異文化にショックを受けながら、順応が早い!明るいところにいる自分とインドの闇の部分の不条理に向き合う。女子高生として体験して感じたインドのありのままの姿が描かれている。
親の転勤でインドで暮らすことになった女子高生のエッセイ。貧富の差やコロナ渦に遭遇しながらも次第に馴染んでいく様子がコミカルに、読みやすい文章で描かれています。
女子高校生の目線でインドを紹介しているので読みやすく、インドの日常がよく分かる。
香君 上
西から来た少女
上橋菜穂子/著 文藝春秋
上橋菜穂子さんからコメントをいただきました
『香君』をお選びいただき、ありがとうございます。
10代の頃、読む喜びを与えてくれた物語は、いまも私の心の中で輝き続けています。
『香君』が、そういう一冊になってくれるようなら、本当に嬉しいです。
県内司書の推薦コメント
香君という「器」の持つ力と、生身の人間が「器」として生きる苦しみ。
全霊を込めた行動が、他人を感動させる。主人公のつらさ、誠実さに胸を打たれます。
人知を超えた自然への畏れ、人間の欲や弱さ、希望が詰まっています。世界観の濃密さが上橋さんの作品ならでは。一気読みしました。
緻密に練られた世界観のファンタジーです。
山川草木悉皆成仏、それをさらに大きく包み込んだ世界観に引き込まれました。
香りの声を聞くことが出来る少女の物語。徐々に明らかになる謎と、主人公たちに襲い掛かるピンチに、ハラハラドキドキしながらページを捲りました。自然のにぎやかさを気付かせてくれる一冊。
作物(穀物)がいかに影響を与えるかという問いに世界観で応えている。
食糧問題や自然との共生などについて考えさせられる作品。
同志少女よ、敵を撃て
逢坂冬馬/著 早川書房
逢坂冬馬さんからコメントをいただきました
中学生の頃、私にとって図書館とは、
世界につながる小さな窓でした。
いろんな景色を覗いてみてください。
私の小説からも何かが見えると思います。
県内司書の推薦コメント
本当に撃つべき敵は誰なのか、考えさせられる一冊。女性同士の巨大感情が好きな人にもオススメです。
女性兵士が主人公の衝撃的な小説。戦争が単純に敵・味方で分けられるものではないことを教えてくれる。
今から80年も前の独ソ戦を舞台にしながらも、現代日本を生きる私たちにも戦場の空気とそこで生きる兵士の心理が伝わってくる、非常にリアリティのある物語でした。
戦争を題材とした小説はいくつも読んだことがありますが、ここまで手に汗握る本は初めてです。
戦争のうねりの中では集団が正当化され、弱者が食われる。同志とは同じ国ではなく戦争を正当化しない志を持つ者同士と感じた。戦争は今も行われている。だからこそ、今読む価値がある作品だと思う。
今年読んだ作品で一番。ソ連では女性狙撃手が実際にいたことに驚きました。なぜ戦争が起きてしまうのか、本当の敵とは何なのか考えさせられる一冊。
アクション描写が素晴らしいです。漫画を読んでいるかのような躍動感があります。主人公たちが向き合う最終的な「敵」とは何なのか、最後の1ページを読むまで断定できず紙をめくる手が止まりません。
死と隣り合わせの中でも人が生きていく以上、友情も愛情も憎しみもつきものだ。『戦争は女の顔をしていない』をセットで読んでほしい。ずっと貸出中の1冊。
独ソ戦が激化する時代、女性のだけの狙撃小隊がありました。その事実に基づいて書かれたこの小説で、主人公セラフィマにとっての本当の敵とはいったいなんだったのか。
戦争によって全てを失った少女が狙撃手として戦場で敵を撃つ。ロシアによるウクライナ侵攻の凄惨なニュースが連日流れた2022年、主人公セラフィマの姿は読者の心に深く刻まれたはず。
宙ごはん
町田そのこ/著 小学館
町田そのこさんからコメントをいただきました
食事とは明日を生きる力を養う大切な行為です。
幸福な一日でも、哀しい一日でも、明日のために食事をする。
その食事を誰と豊かに過ごすかが、明日を、ひいては人生を幸せに導いてくれると信じて描いた作品です。
県内司書の推薦コメント
なんで自分の家族はこうなんだろう?と感じている人にこそ読んでほしい。
先生も生徒も読んだ人が口を揃えて「読み終わってもう一回読んだ」と言った作品は初めて。
読後、しっかり地に足ついて前を向いて生きていこうという力をくれる作品。最後まで泣きっぱなしでした。
大人になっても、みんなゆっくり変わっていけばいいのかと思った。
大人になる希望と力を与えてくれる物語。
いろんな家族の形の中で、食べることと生きることがつながっていく本。
飯テロ。おいしいご飯が食べたくなります。
町田そのこさんは、ありきたりの家族を書かないのがいい。やはり、人は人に支えられて生きていくのだと思わせてくれる。それがどんな形であろうと……。
前向きな気持ちになれます。
優しさに溢れた物語、とても幸せな気持ちになれる本です。
13歳からの地政学
田中孝幸/著 東洋経済新報社
田中孝幸さんからコメントをいただきました
小難しい言葉がまったく出てこない物語にしています。日本も本当にいい国ですが、世界に目を向けたらもっと面白い。
これから面白い人生を生きる皆さまを「カイゾクとの地球儀航海」にお連れできたらと思います。
県内司書の推薦コメント
兄妹の成長ストーリー×地政学!小説を読んでいただけなのに、気づいたらとても考えさせられる。平面ではなく、地球儀で世界を見ると、今まで見えなかった各国の思惑が……。
世界の情勢が著しく変化している今、国どうしの関係性を意識するきっかけになる本です。「学ぶぞ!」という気負いなく読める感じが良かったです。
今まで断片的に見聞きしてた世界のニュースが、頭の中でつながりはじめました。
日本、そして世界の国々の見方が変わる本です。あなたは最後のカイゾクからのテストにどう答えますか?
分かりやすく、地政学を身近に感じられる本。一気読みしました!
地球儀が丸いように現実の世界もすべてはつながっていて、歴史や地理、政治など様々な要素が互いに影響し合って形作られていることを、地政学を学ぶ主人公の物語を通じてわかりやすく伝えてくれる。
国際情勢を物語形式でわかりやすく教えてくれます。そして、物事を様々な角度から見て考えることの大切さを教えてくれます。
多くの地政学入門の本よりは深く、多角的に国家や国際問題の本質を突く視点がいいと思いました。対話形式なので読みやすいところもいいです。
その本は
又吉直樹/著 ヨシタケシンスケ/著
担当編集者さんからコメントをいただきました
本を読むこと、物語を綴ること、何かを創り出すこと。
私たちはここに存在しているだけで無限の可能性があるんだということを教えてくれる本です。
読み終わったらきっとあなたもこう言いたくなるはず!
「その本は…」
県内司書の推薦コメント
面白い話や感動する話など、二人から語られる本の話をいつまでも聞いていたい気分になりました。
本のエッセンスがぎゅっと詰まった本です。読書が苦手な人にも是非読んでほしい一冊です。
本に関するオムニバス。著者の本に対する情熱が伝わってきます。
又吉直樹さんとヨシタケシンスケさん両名のコラボ作品の本作は、思わず笑ってしまうもの、背筋がゾッとするもの、深く考えさせるものなど様々な作品が集まっている。読了後、本好きの業の深さを感じてしまった。
驚きも、笑いも、涙も、みんな詰まった本です。ラスト、こう来るとは思いませんでした。
本への愛情に溢れた作品だと思いました。
二人の男が本好きの王様のために「その本は…」と語り続ける話です。重厚感のある装丁ですが、読みやすそうなところだけ読める気軽な本!けれど最初と最後だけは必ず、必ず読んでくださいね。必ずですよ!
ウクライナから来た少女
ズラータ、16歳の日記
ズラータ・イヴァシコワ/著
担当編集者さんからコメントをいただきました
この度は栄えあるランキングに選んでいただきましてありがとうございます。
この本は皆さんと同じ学生であった著者がある日いきなり戦争になったときに、何を考え、一瞬一瞬をどう選択したかがリアルにつづられた日記になります。
県内司書の推薦コメント
同世代の目を通した戦争が描かれているだけでなく、本が人生を切り開くきっかけにも、心の支えにもなるのだと教えてくれる。
ウクライナの少女が戦火を逃れて日本に逃げるまでの逃避行記。中学生の頃に出会った1冊のテキストが日本への興味を育み、彼女の人生を大きく変えるものとなったことに心動かされました。
日本が戦禍を被った時、皆さんは単身で外国で生活することができますか?彼女の覚悟を「知る」こともまた、一つの支援の形です。自分たちと同年代の少女の生き様をぜひ知ってください。
困難に負けず、自分の夢に真摯に向き合うズラータさんと、決意と覚悟を持って彼女の背中を押すお母さんに敬意を表します。誰のための何のための戦争なのか、私達も向き合わなければなりません。
ロシアのウクライナ侵攻から日本に逃避行した少女のドキュメンタリー。 「今日できることは、明日もできるとは限らない」、そんな彼女の言葉が痛く身に沁みます。
図書室のはこぶね
名取佐和子/著 実業之日本社
名取佐和子さんからコメントをいただきました
イチオシ本に選んでくださり、ありがとうございます。1冊の本をきっかけに、たった1週間で高校生の世界はグルリと変わる。変われるから、青春なのだ。
光も影も尊い1週間の伴走者に、アナタも是非なってください。
県内司書の推薦コメント
図書室の1冊の本からはじまる10年越しの謎は、学校の名物イベント・体育祭の「土曜のダンス」につながっていて―。ぜひ主人公と同じ高校生のうちに読んで楽しんでほしい青春ミステリ小説です。
体育祭が大嫌いな私もこんな体育祭に参加してみたくなりました!読後感が爽やかで輝いていました。
多様性というテーマがありつつも爽やかで読後感が清々しい小説でした。様々な背景を持つ生徒の居場所として図書館が機能しているところも魅力的で、そんな図書館を目指せると良いと思いました。
どの登場人物もそれぞれの生き方にまっすぐで、胸が熱くなりました。爽快感のある後味も素敵です!
本が人をつなぐと実感させられる青春小説。検索機「本ソムリエ」、開発されないかなあ。
汝、星のごとく
凪良ゆう/著 講談社
凪良ゆうさんからコメントをいただきました
誰かを深く愛することと、自分の価値観で人生を選び取っていくことの大事さを描いた物語です。
これから社会に出ていく高校生の皆さんが、勇気を持って未来へ漕ぎ出せるように願っています。
県内司書の推薦コメント
普通とはなにか、正しさとはなにかについて考えさせられました。
毒親や女性の自立など社会的な問題を盛り込みつつ、主人公二人の成長と純愛を描いています。ラストには涙です。
人生は選択の繰り返し、人間関係がリアルに伝わる表現描写が痛烈に伝わる。
精神的にも経済的にも自立して強く生きることを学べる物語です。
丁寧な心理描写に引き込まれる。
切なくて何度も泣きました。ですが、エンディングは最高でした。
高校生で出会ったふたりを瑞々しく描き出す。是非読んで、彼らと一緒に成長していってほしい。
税金で買った本(1)
ずいの/原作 系山冏/漫画 講談社
©ずいの・系山冏/講談社
ずいのさんからコメントをいただきました
司書の皆さまに推していただけて光栄です!
気軽に読んで楽しんでいただけると嬉しいです!
系山冏さんからコメントをいただきました
この度はイチオシ本に選んでいただきありがとうございます…!これを機会にたくさんの高校生の皆さんに読んでいただけると嬉しいです!
県内司書の推薦コメント
読みながら楽しく図書館の活用方法を知ることができる、まさに利用案内のような漫画です。図書館愛と癖が強すぎる司書たちが魅力的です。
図書館のお仕事を無意識下に刷り込んでくれる大変ありがたい作品。本校では税金で買っています。
「ここにあるの全部コレだから」
「司書って暇そう」と言っていた生徒に、「司書って大変なんですね」と言わしめた作品。
公共図書館出身の自分に物凄く共感できる本で、生徒や職員に図書館員の仕事内容やなぜ図書館にはルールがあるのかを理解を深めるのにいい1冊。
図書館マニアでもない生徒が、おすすめしなくても自然と借りていく図書館マンガなんて今までなかった!司書が読んでもタメになる!